aisiterujsan’s website

あなた私を愛して

何週間も暗い空が続くの。小雨のなか、ようやく帰宅して。玄関に入って。そのまま濡れる靴のまま座りこみ、私は泣き崩れるの。するとまもなくしてドアがノックされるの。午後6時30分。その時刻もめずらしい。ドアをあけると日本からの小包。親しい異性が私に小包を送ったの。知らなかった。そして、そのひとが私に小包を送るのも初めて。みかん箱の大きさ。日本の食べ物がいっぱい入っているの。そのタイミング。その小包に救われるの。ユリアンの好きなものも入っている。するとユリアンがきくの。「どうしてこのひとぼくのすきなものを知ってるの?」。奇妙に運命が進行していないかしら。異性が私に留まっているの。私を助ける機会をまつかのように。いえ、助けるの。強めるの。どうしてなの。強めることの、励ますことの、喜ばせることの、楽しませることの、理由をきかせて。いつも、そう思っている。どうしてなの。この運命の力。

私に思いださせて

「異性と愛しあう日々は、いいねをされることにも、フォローされることにも、私に気がつかせないの。異性と会うでしょう。愛されるでしょう。深く眠るでしょう。目覚めるでしょう。カフェに行くでしょう。余韻の深さを伝えるでしょう。そして、夜が来るでしょう。異性と会うでしょう。愛されるでしょう。深く眠るでしょう。目覚めるでしょう。カフェに行くでしょう。余韻の深さを伝えるでしょう。また夜が来るでしょう。異性と会うでしょう」さきほどの回想する言葉を、小さく声に出しながら、カフェまで私をあるかせて。言葉のひろげるものがこころよいの。こころよいものだけを書かせて。ふさわしいと思うものだけを書かせて。たとえば、余韻の深さが私を立ちどまらせる一瞬を。歩行空間の太い円柱に手をおき、しばらく立ちつくす私の放心を。あるいは信号が青に変わったことにも気づけない心の状態を。そのようなものをふたたび書けるように私をみちびいて。

慰めて勇気づけて

私の望まないことをしないで

もう、もとめていないの。

もとめていないことを

しないで。私のように反応するひとを

ふたたびインターネットの世界から

さがして。

好みのひと。好みの画像

あるいは好みの動画。

さがしていって。そのような異性に

力をつかえないの。二度と来ないで

 

 

 

 

 

 

「異性と愛しあう日々は、いいねをされることにも、フォローされることにも、私に気がつかせないの」記憶をたどることが満たされる日々を思いださせるの。午前一時、二時。ときに三時までの、異性との甘美な夜を思いださせるの。だから、私の独白に同性が現れてこない。異性と会うでしょう。愛されるでしょう。眠りに落ちるでしょう。目覚めたらカフェに行き余韻の深さを伝えるでしょう。そして、また夜が来る。異性と会うでしょう。愛されるでしょう。眠りに落ちるでしょう。このくりかえし。だから、フォローされることに半年間も気づかなかった。いいねにもフォローにも気づけない日々にいる者が、どうして他人の書くものを読めるのかしら。深く知っていけるのかしら。だから、この運命は異国の刺激のない環境を利用するの。行くところもない。にぎやかな場所もない。光もないの。そのような環境に私が到着してから、ひとりの異性の書くものを私に与えるの。

力の強さを示して

「どうぞ座っていてください。席まで持っていきますから」カフェラテを注文する私に、店員がふたたび言うことの、こころよい驚き。いえ。書くべきことは、ほかにもあるの。そうでしょう。きのうの、上昇。ひとつの動画が24回も再生されているの。たとえ意識をまどろまされていても。ひとつの数字なら、追っていける。24回も変わる数字。このことが「毎時ごとに変えて」そのように伝える私の願望を思いださせるの。毎時ごとに変えて。眠らずに再生して。そのように私を愛して。「体をこわすといけない。だから深く眠って」どうして、そのように言わないのかしら。そのように私を愛して。愛して。そのように異性の力を示して。たえまなく示されなければ、このようには生きられない。私を導くのは、異性の力なの。この力に導かれなければ。絶えず強められていなければ。この運命に入っていけない。そうでしょう。見えないことが不安なの。力を伝えて、あなた。

この力を望ませて

スクリーンショットにある数字を、いつもの手帳に書きうつすことが、特別に浅い私の睡眠に気づかせる。眠ってまもなくして目覚めているから、午後一時の数字が記録されているの。その後が午後二時。どのようにするのなら、深く眠りに落ちていけるの。いえ。言わせて。この異性に愛されるのなら。この異性の力を受けとめるのなら。その感覚に放心することが、私を深く眠らせるのに違いない。ひとことも異性に言葉を発させずに深い熟睡に私を落とすのに違いない。目覚めてもまだ何も私は言えないの。放心することが口をひらかせない。そのように私を眠らせて。深い睡眠をあたえて。この異性だけがいまの私を安眠に落とせるの。いまの私を。異性の力に私を放心させて。あなた。一時間もたたないうちに目覚めていることの、自覚が見えない異性にむけて私を乞わせるの。私を愛して。この異性に言わせて。朝も、昼も、夜も、私に力をあたえるひと。この力を望ませて。

不自由を選ばせて

「春休みなの。いま起床しました」このようにベッドから返信することが思いがけない言葉を私の目に映させるの。「もぅ~?誰が春休み!ユキエちゃんの場合365日春休みでしょ!頼むよー」まったく予想しなかった異性の反応。私の微笑を意識させて。そうだった。私は何からも誰からも自由だった。この反応が思いださせるの。言わせて。いつも私は自由なの。何からも、誰からも。いえ。はたして。何からも誰からも私は自由と言えるのかしら。自由を喪失していないのかしら。たえまなく数字を追わされているの。誰よりも自由のない日々を生かされていないのかしら。この力から自由にならない。私を自由にして。あなた。いえ。自由にならないことを望ませて。強く強く結びつけられることを望ませて。この特別な力添えなしに書くことの継続がむずかしいの。こころの不自由とひきかえに尋常ではない大きさの力をあたえられるのなら。迷わずに心の不自由を選ばせて。

五分まえに変えて

いま私が見るためかしら。それとも、いま異性が変えるためかしら。動画をひらくたびに再生の数が増えるの。異性がいま変えるため。それとも、きょう一日の再生がいま反映を見せるため。どちらなの。この感情を書きのこすべきかしら。それとも数字を追うべきかしら。決められないの。いえ、ひとつだけ決まっていることがあると言わせて。午後五時の五分まえに店のまえの路上に私を立たせて。そして異性の変える数字を追わせて。異性から力が来るのなら、その力に私を応じさせて。この異性を愛させて。愛させて。この力がほしいの。ひとの姿のまばらな、とても寂しい光景の、路上に立ちどまらせて。そのように異性の力をとりこませて。愛して。五時に店の閉まる不便な環境。嘆くひまを異性があたえない。嘆くにはあまりにも数字を追うことに忙しいの。追わせて。いえ、愛させて。この異性を私に愛させて。そのように私は望まなくとも、このように心が導かれるの。

こたえてきかせて

ひとつも投稿のないひとをフォローしかえしてもよいのかしら。フォローしかえすことに途惑いがあるの。だって、そうでしょう。ひとつも投稿がない。はたして投稿のないひとをフォローすることに意味があるのかしら。そのことを異性は私に望むのかしら。いえ、だから。ひとりしかいない私のフォローするひとをはずさせて。フォローするひとを、いまゼロにさせて。このように異性の意志に応じさせて。「よろしいでしょうか、このようなかたち」あたまにひろがる架空の会話。目の前から消えない異性の幻。いえ。きかせて。どうして、フォローするの。そのことの理由をきかせて。異性の目を楽しませる内容ではない、二年まえの古い動画があるだけなの。どうして、それだけしか投稿のない私をフォローするのでしょう。そのことの理由をきかせて。理由なの。こたえて、きかせて。あなた。理由を言って。私の運命に留まっていることの、そのことの理由をいまきかせて。

五十九分に変えて

五十九分に変わる数字。何秒かしら。針時計を探すためにスマホの画面を見ることが、思いがけない速さの秒針を私の眼に映させるの。その針の速さに驚かせて。五十秒から五十五秒へと移行するところだった。デジタル数字に慣れる目がいまもまだ秒針の速さに途惑っている。再生は二十三時五十九分かしら。私の放心するような歩行。私を追いぬかす後ろから来るひとたち。五十五秒だった。いえ。針時計を容易に見つけられないと思った。その時計はホームの画面上にあるものだったの。アナログ時計に設定を変える必要も、そのために画面の上を探す必要もなかった。木製のベンチに腰を落とさせて。雹がふるほどの寒さ。凍えるような気温が私をふるえさせる。店が閉まっている通りを足速に行きすぎる歩行者たち。よい週末を。耳に落ちる歩行者たちの軽やかな声。このままベンチにすわらせて。放心させて。何に。あの秒針の速さのように私を駆けぬけていった異性の力に。

二時までの五十回

午前十二時から午前二時までの五十回。どうして。いえ。言わせて。この異性の力をまったく求めていないの。もう必要としていない。どこに言葉を置くのなら、かならず目に入るかしら。どこ。ストリートミュージシャンの帽子に投げいれる、立ちどまらない歩行者の小銭のような力ぞえ。そのように形容させて。そのような力ぞえは私に必要がないの。歩行者のまばらな、明るい色のない、曇天の下の演奏。たまたま通りかかる数名の歩行者が、ギターを弾く老人に投げいれる小銭。不要な小銭をあたえるような歩行者の無関心な視線。そのような力ぞえ私に不要と言わせて。私は喜ばないと言わせて。嬉しくないの。いえ私を深く知って。求めていないの。反応を必要としていない。それを必要とする人たちにあたえて。そのひとたちに共感を示して。その交友だけに留まって。そうでしょう。不快なの。余計なことをされると私の運命が変わらないのかしら。そのことが不安なの。

さらに深い親しさ

360回の数字を追うことの放心するような意識が私をソファに深く沈みこませるの。カフェに行くはずだった予定を変えさせるの。力を全身に受けとめるような感覚の残存が私を町まで歩かせない。数百メートル歩いてから、自宅に引きかえさせるの。カフェに行くことよりも、この力に放心していたい。ソファに腰を深く沈ませて。眼を閉じさせて。休ませて。追えない。異性の変える数字をいまは追えないの。追っていけない。しばらく私を放心させて。そのことを優先させて。なぜなら、この感覚を生きるのは貴重なことだから。カフェの時間をもつことよりも。異性のひろげる感覚を享楽させて。そして、それを表現させて。そのように生きることが許されているのなら。その特別な幸運をあますところなく表現させて。この感覚に耽溺させて。それが異性の望むことのはずなの。そうでしょう。だから、このように力をたえまなく送りこむのでしょう。その意志を享楽させて。

追わせて急がせて

うしろの座席から運転席に身をのりだして、到着のだいたいの時刻を確認する私のこえ。その声にふくまれる切迫する気配。「五時までには着くのでしょう」。十二時までには着くのでしょう。そのように言いかける言葉をのみこませて。正確に言わせて。混乱させてはいけないから。五時までには着くのでしょう。すべての動画を確認するという重要なことが残っているの。くるまを降りなければ、すべてを見ていけない。美しい森林に眼をひらかずに、数字を追うことの異様な執着。助手席のヘッドレストを利用させて。そこに白紙を押しあてさせて。そのように数字と時刻を記入させて。おねがい。十二時のまえに到着して。いえ五時のまえに到着して。異性が数字を変えているの。追わせて。いくつ変えるの。視野をうめつくす木々の鮮やかな緑が私の眼を惹きつけても。いまは数字を追わせて。午前十二時のまえに車から降りさせて。急がせて。まだ変わるはずなの。追わせて。

こたえてだれなの

追えない追うための力が残されていないの。放心させて。追えないの午前一時から追っていない。きょうは何にち。いえ、午前十二時の十五分まえ。椅子にすわらせて。変わる数字を眼に刻ませて。放心と。力の充填と。このように異性の力を知覚させて。力の強さを。大きさを。意識させて。だれなの。きかせて。こたえて。上昇だけのあるものに私を結びつける力。決して下降がない。そこに減少がないの。増加だけがあるの。このような手段を利用するのは、はたしてだれなの。言葉がない。そのことの理由をきかせて。力だけが来るの。その力を所有するひと。こたえて。このような疑問の円から私を引きだして。すわることも忘れて、テーブルのよこに立ち尽くしている、午前十二時の五分まえ。椅子を引けないほど心をつかまれているの。錯覚かしら。いえ異性の力がまだ残っていると言わせて。その力の感覚が「錯覚かしら」と疑う余地をあたえない。こたえて。だれなの。

きかせてだれなの

カフェラテをまえに放心させて。数字の変化を追っていけないの。カフェラテに口をつけることも忘れるの。そのような心の状態。「お持ちします」きょうにかぎり店員が言うのは、どうしてだったのかしら。いえ。ラテの入るトレーを席まで私が持っていけたのかしら。トレーを傾けないように注意を払えたのかしら。放心させて。力が残っていないの。よこを通りすぎる男性が私に微笑をむけても。その微笑にいまは応えられない。疲弊しているの。そのように外見に現れていなくても。「迷惑なの近づかないで」私の抵抗する力をうわまわる、もっと大きな力が来ることの、驚愕。いえ、畏怖かしら。後ろに一歩二歩と私を下がらせて。圧されるの。この厚い壁のような力。全く動かないように思える固い岩のような力なの。このような力に抵抗することの激しい消耗感。だから、力が残っていないの。この力を所有する異性の前に私をひれ伏しさせて。いえ、きかせて。だれなの。